実家のお墓が遠くて、なかなか足を運べない。
そんな悩みから「改葬(お墓の引越し)」を考える人が増えています。
ただ、改葬先さえ決めれば解決、というわけでもありません。
選び方を間違えると「またお参りに行けないお墓」を作ってしまうことになります。
ここで大切なのが「通いやすさ」という視点です。
改葬先の遠さに不安を感じている方に向けて、距離だけでない現実的な選び方をお伝えします。
改葬先が「遠い」まま放置すると、じわじわと起きること
専門業者の解説によると、改葬が増えている理由の一つが「お墓と住まいが遠くてお参りが難しい」というケースです。
ある調査では、住まいからお墓まで2日以上かかる人のうち、約80%が「大変」または「かなり大変」と感じていることが示されています。
また別の調査では、お墓参りの平均回数は年に2〜3回程度で、距離が遠いほどお参りの頻度が落ちやすい傾向があると報告されています。
お参りに行けない日々が続くと、無縁墓化への不安や罪悪感が少しずつ積み重なります。
改葬は「遠さへの不安」を根本から解消できる手段ですが、そのためには通いやすさを念頭に置いた選び方が欠かせません。
「通いやすさ」は距離だけで測れない、見落とされがちなポイント
改葬先を選ぶとき、「自宅から近ければいい」と距離だけで判断してしまう方は少なくありません。
しかし、通いやすさには距離以外にも複数の要素が絡んでいます。
専門業者の解説でも、改葬先を選ぶ際のチェック項目として次のような点が挙げられています。
- 最寄り駅からの距離と乗り換え回数
- 駐車場の有無(車がなければ行けないかどうか)
- バリアフリー対応(エレベーター・スロープ・段差の有無)
たとえば、地図上では近く見える郊外の霊園でも、車なしでは行けない立地だと、高齢になったときに急に通えなくなるリスクがあります。
交通費も見落とされがちな点です。
1回あたりは小さな出費でも、年数回×数十年分の累計はかなりの負担になり得ます。
「今の自分が行けるか」だけでなく、10〜20年後も通える場所かどうかまで想像して選ぶことが、後悔しない選び方につながります。
供養の形態が変われば、通いやすさの意味も変わる
改葬先の候補としてよく挙がるのが、一般墓・納骨堂・永代供養墓の3つです。
それぞれ「通いやすさ」の意味合いが少し異なります。
一般的なお墓は屋外に区画があるため、広さの分だけ駅から距離があったり、坂道や段差が多かったりするケースもあります。
公営墓地は郊外に立地することが多く、車がないと行きにくい場合もあります。
都市部の駅近に立地する納骨堂や室内墓は、天候に関係なく参拝でき、バリアフリー対応の施設も多いとされています。
アクセスのよさを強みとしている施設が多いのも、この形態の特徴です。
永代供養墓は、寺院や霊園が継続して供養・管理を行う形態で、「通い続けることを前提としない」点が大きな違いです。
ただし、「永代供養だからお参りしなくていい」というのは誤解で、命日や法要に参拝したいと思う家族にとっては、アクセス条件は依然として関係してきます。
また、永代供養墓を選ぶ際には「何年後に合祀されるか」「合祀後も参拝できるか」「管理費の有無」を事前に確認することが大切です。
専門業者によると、この確認を怠ると後のトラブルにつながりやすいとされています。
「今の自分」だけで選ぶと、将来また「遠い改葬先」になる
改葬先の選び方で最も見落とされやすいのが、将来のライフスタイルの変化です。
今の自宅に近い場所を選んでも、子の世代が遠方へ転居したり、自分自身が介護施設に移ったりすることで、数年後には「また遠い墓」になってしまうケースがあります。
専門業者の指摘にもあるように、改葬先を選ぶ前に「誰がどこに住み続けるのか」を家族で話し合っておくことが、将来の後悔を防ぐうえでとても大切です。
将来の承継が難しいと見込まれる場合は、一般墓ではなく永代供養墓や納骨堂のような「承継が不要な形態」を最初から視野に入れること。
それが、通いやすさと長期的な安心を両立させる現実的な選び方です。
まとめ:通いやすさは「現在」と「将来」の両方で考える
改葬先が遠いという不安を解消するには、距離だけでなく、交通手段・アクセス条件・将来の通院や介護の可能性まで含めた選び方が必要です。
供養の形態によっても、通いやすさの意味は変わります。
永代供養を選ぶなら、契約内容を細かく確認することも忘れずに。
今の自分だけでなく、10年後・20年後の家族も「通える場所かどうか」。
そこを起点に考えることが、後悔しない改葬先選びの第一歩です。

