合祀で後悔しないために。戻せないポイントと向いている人の見分け方

お墓の管理が難しくなってきた、継承者がいない、子どもに負担をかけたくない…そんな事情から「合祀」を考える人が増えています。

費用が抑えられて管理も不要。一見、いいことずくめに思えますが、合祀には一度決めたら絶対に取り消せない性質があります。「向いている人」と「向いていない人」を見極めないまま進めると、後悔してもどうにもならない事態になりかねません。

合祀の「戻せない」本質と、自分に合っているかどうかを判断する材料をお伝えします。

「永代供養=ずっと個別安置」は大きな誤解

合祀とは、複数の人の遺骨を骨壺から取り出し、まとめて一緒に埋葬する形式のことです。

よく混同されるのが「永代供養墓」。こちらは一定期間(3年・13年・33年など)は個別に安置され、期間が終わると合祀されるのが一般的です。

つまり、「永代供養=ずっと個別の区画で守ってもらえる」は誤解です。多くの永代供養墓は期間後の合祀が前提になっており、それを知らずに契約してしまう人が後を絶ちません。

また「合葬」という言葉もあります。骨壺のまままとめて埋葬する方式で、合祀とは厳密に異なります。ただし現場では両方の言葉が混在して使われることも多いので、契約書の定義は必ず確認してください。

絶対に知っておくべき「戻せない」の中身

合祀を考えるうえで、ここだけは押さえてほしい点があります。

合祀後は、遺骨を取り出すことが原則できません。

他の方の遺骨と混ざった状態で埋葬されるため、あとから「別の墓に移したい」「手元に戻したい」と思っても、特定の遺骨だけを分けることはできません。専門業者によると、どれだけ強く希望しても運営側も物理的に対応できないのが一般的です。

さらに、合祀後は「改葬」(別の場所のお墓に移すこと)もできません。改葬の手続きは遺骨を個別に移動することが前提であり、合祀済みの遺骨はその対象にならないためです。

「一定期間個別安置→合祀」のプランであれば、合祀される前の期間中は改葬できる場合があります。ただしこれも施設の規約しだいなので、契約前に書面で確認することが欠かせません。

合祀に向いている人・向いていない人を分ける3つの問い

合祀が自分に合っているかどうかは、次の3つを自問することで整理できます。

問い① 継承者がいない、または子どもへの負担を減らしたいか

合祀墓は継承者が不要で、霊園や寺院が管理・供養を続けます。将来の墓守が見込めない方や、遠方に住む子どもへの負担を減らしたい方には現実的な選択肢です。公的機関の調査でも、墓じまい後の改葬先として合祀墓を選ぶケースは増加傾向にあることが示されています。

問い② 家族全員が、遺骨を「戻せない」ことに納得しているか

合祀で最も多い後悔は、家族間のトラブルです。自分は合祀を希望していても、子どもや親族が「家のお墓を残したかった」「勝手に決めた」と後から反発するケースは少なくありません。合祀の「絶対に戻せない」という事実を、家族全員が理解・納得してから進めることが最低条件です。

問い③ 個別の墓石に手を合わせる供養スタイルにこだわらないか

合祀墓では、家ごとの墓石がありません。「〇〇家之墓の前でお参りする」という従来のスタイルとは大きく異なります。供養の形へのこだわりが強い場合、精神的な後悔につながりやすい点です。逆に「みんなと一緒に眠れるほうが良い」「形にこだわらない」という方には、受け入れやすい形とも言えます。

費用の目安と、合祀が向かない場合の代替案

合祀墓の費用は、専門業者の情報によると1霊あたり3万〜30万円程度が目安です(地域・施設によって差があります)。ただし、既存のお墓を撤去する「墓じまい」が必要な場合は、別途35〜50万円程度がかかるケースが多く、トータルで比較することが大切です。

合祀に不安を感じた場合、「個別永代供養墓」が現実的な代替案になります。

合祀墓個別永代供養墓
費用の目安3〜30万円程度やや高め
遺骨の取り出し原則不可期間中は可能な場合あり
個別区画・墓石なし期間中はあり
継承者不要不要

個別永代供養墓は一定期間は個別区画に安置され、その間は改葬できるケースもあります。「すぐに合祀は不安だけれど、管理の負担は減らしたい」という方に向いています。ただし、こちらも最終的には合祀になるプランが多いため、契約内容の確認は必須です。

契約前に書面で押さえておきたいこと

どの施設を選ぶにしても、規約で以下の点を書面で確認してから契約してください。

  • 合祀のタイミング(最初から合祀か、一定期間後か)
  • 遺骨の取り出し・改葬の可否
  • 施設が閉鎖・倒産した場合の遺骨の取り扱い

専門業者によると、口頭の説明と契約書の内容が食い違うトラブルも起きているため、必ず書面で確認する姿勢が重要です。また、宗教色の強い寺院の合祀墓を選ぶ場合は、本人や家族の信仰と合っているかどうかも事前に確かめておきましょう。

まとめ:合祀は「後戻りできない」からこそ、決める前が全て

合祀の最大の特徴は、一度決めたら元に戻せないという点に尽きます。費用が抑えられ管理の手間もかからない一方で、遺骨の取り出しも改葬も原則できません。

向いているのは、継承者がいない・子どもへの負担を減らしたい・供養の形にこだわらない、という条件がそろっている方です。向いていないのは、将来的に個別墓への移転を考える可能性がある方や、家族間でまだ十分な合意が取れていない方です。

「安いから」だけで決めず、家族全員で「戻せない」という事実を共有したうえで、納得のいく選択をしてください。