墓じまいを検討する際、「撤去費用は1㎡あたり10〜15万円程度」という相場を目にすることがあります。しかし実際に見積もりを取ってみると、予想をはるかに超える金額が提示されて驚いた、という声は少なくありません。
その理由の多くは、墓地の立地や環境条件にあります。平坦で車が横付けできる墓地と、山の上にある墓地では、同じ広さでも撤去費用が大きく変わるのです。
ここでは、撤去費用が高くなりやすい意外な条件と、その背景にある理由を解説します。
もくじ
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山の上・傾斜地の墓地はなぜ高額になるのか
墓地が山の中腹や丘の上にあり、石段を何十段も登らなければならないような場所では、撤去費用が通常の1.5倍〜2倍以上になることもあります。
最大の理由は、重機が使えないことです。
一般的に、クレーンやユニック車などの重機を使えば、墓石の解体や運搬を効率的に行えます。しかし山道や急な石段しかない墓地では、こうした車両を現場まで入れることができません。
その結果、墓石を小さく砕いて人の手で運び出すしかなくなり、作業人数も時間も大幅に増えます。業者によっては、人力運搬による追加費用として数十万円単位の加算が発生する場合もあります。
また、傾斜がきつい場所では安全確保のための足場設置や、滑落防止の対策も必要になるため、工事の難易度がさらに上がります。
狭い通路・車両が入れない区画の影響
都市部の古い墓地や、区画が密集している霊園では、通路が狭く車両の横付けができないケースがよくあります。
このような環境では、山の上の墓地と同様に、石材を手で運び出す作業が必要になります。特に外柵や基礎コンクリートまで撤去する必要がある場合、重量のある資材を何度も往復して運ばなければならず、人件費が大きく膨らみます。
さらに、クレーン車を道路に配置する際には、道路使用許可の申請費用や交通誘導員の配置費用が別途かかることもあります。こうした費用は見積もりの段階で明示されないこともあるため、注意が必要です。
一般的に、車両が墓地のすぐ近くまで入れるかどうかで、撤去費用に30万円以上の差が出ることも珍しくありません。
墓石の構造と重量が費用を左右する
同じ広さの墓地でも、墓石の大きさや構造によって撤去費用は大きく変わります。
たとえば、昔ながらの重厚な墓石や、外柵が石でしっかり組まれている墓地では、解体に時間がかかります。また、地中に埋まっている基礎部分(カロートや基礎コンクリート)の撤去範囲が広い場合も、工程が増えて費用が上がります。
墓地管理規定によっては、区画を完全に更地に戻すことが求められる場合もあり、その場合は地面を掘り返す作業も加わります。
見た目がシンプルな墓石でも、実は地中の構造が複雑で、想定以上の費用がかかるケースもあるのです。
離島や豪雪地域での特殊な加算
島しょ部にある墓地の場合、フェリー運賃や車両の輸送費が別途発生します。作業員の宿泊費や、天候不良による工期延長のリスクも費用に反映されることがあります。
また、豪雪地域では冬季の作業が制限されるため、春先まで待つ必要があったり、除雪費用が加算されたりする場合もあります。
こうした地域特有の条件は、事前の確認がないと見落とされやすいポイントです。
見積もりで必ず確認したい3つのポイント
撤去費用を抑え、追加請求のリスクを避けるためには、以下の点を業者に確認することが重要です。
- 現地調査を行っているか|写真だけでなく、実際に墓地を見て見積もりを出す業者を選ぶ
- 立地条件による加算の有無|重機使用の可否、人力運搬費、道路使用許可費などの内訳を明示してもらう
- 追加費用の上限設定|「想定外の作業が発生した場合」の追加費用ルールを事前に確認する
複数の業者から見積もりを取り、内訳を比較することで、適正な価格を見極めやすくなります。
まとめ:立地条件で費用は大きく変わる
墓じまいの撤去費用は、墓石の広さだけでなく、搬出経路や重機の使用可否によって大きく左右されます。
山の上や階段が多い墓地、通路が狭くて車両が入れない区画、離島や豪雪地域といった条件下では、人力作業や輸送費の増加により、通常の相場を大幅に上回ることも珍しくありません。
事前に墓地の立地環境を業者にしっかり伝え、現地調査を依頼することで、想定外の追加費用を避けられる可能性が高まります。見積もりは複数社から取り、内訳を丁寧に確認することが、納得のいく墓じまいにつながります。

