相続した実家を売るなら「墓じまい」が先?損しないベストな手順とタイミングを徹底解説

親が亡くなり、誰も住まない実家を相続した。片付けや売却のことを考えながら、頭の片隅にある「お墓、どうしよう」という問題。実家の売却と墓じまい、どちらを先に動かせばいいのか、迷う方は少なくありません。

売却・相続・供養の手続きはそれぞれ別物でありながら、タイミングを誤ると費用や手間が余計にかかることもあります。状況別に優先順位を整理していきます。

実家売却と墓じまい、法律上の「順番」は決まっていない

まず知っておきたいのは、不動産の売却と墓じまいは、法律上どちらを先にしなければならないという規定はないという点です。

不動産売買と遺骨の改葬・墓石撤去は、それぞれ別の制度領域。一般的にはどちらを先に進めても問題ありません。

ただし、例外があります。実家の敷地内にお墓(個人墓地)がある場合は、墓地の廃止手続きや地目変更といった行政手続きが売却前に必要になるケースがあります。専門業者によると、個人墓地は一般的な霊園・寺院墓地とは扱いが異なるため、早めに自治体や専門家へ確認することが大切です。

まず相続登記、墓じまいは並行して動き始めるのが現実的

実務上よく見られる流れとして、「相続登記を優先して済ませた後、実家の売却準備と墓じまいの検討を並行して進める」というパターンがあります。

相続登記は後回しにできません。

2024年4月の法改正により義務化され、相続を知った日から一定期間内に申請しないと過料の対象になる可能性があります。売却手続きにも影響するため、最優先で動くべき手続きです。

一方、墓じまいは実家売却と直接リンクしているわけではないため、家族の合意が整ったタイミングで進めるのが現実的です。

ただし、実家を売ってしまうと帰省の拠点がなくなるという点には注意が必要です。

その後に墓じまいを進める場合、寺との相談・墓石撤去・改葬手続きなどのたびに交通費や宿泊費がかかります。「実家がある間に、墓じまいの段取りだけでも始めておく」のが、費用を抑えやすい進め方のひとつです。

実家と墓の距離・状況で変わる、ベストな進め方

状況おすすめの進め方
実家と墓が近い(同一地域)実家の片付け・売却準備と並行して墓じまいを進めやすい。売却前に完了できると理想的
実家と墓が遠方帰省回数を減らすため、1〜2回の帰省で両方の段取りをまとめて進めるプランを立てる
敷地内に個人墓地がある墓地廃止・地目変更が必要なため、売却より先に墓じまい・行政手続きを完了させる
親族間で意見が分かれている実家売却だけ先行し、墓じまいは合意形成ができてから進める選択肢もある

「損した」と後悔しないために知っておきたいこと

墓じまい後の墓地は「売れない」のが基本

「墓じまいをすれば、その土地も売れる」と誤解されがちですが、一般的な霊園・寺院墓地では利用者が持つのは永代使用権であり、土地の所有権は霊園・寺院側にあります。

専門業者によると、墓じまい後の区画は更地にして返還するのが通常で、第三者への売却はできません。過去には永代使用料の返還を求めて訴訟に発展した事例もあるため、墓じまいを進める前に墓地使用契約の内容を必ず確認しましょう。

墓じまいは「書類1枚」では終わらない手続き

遺骨を別の場所に移す「改葬」には、お墓がある市区町村への改葬許可申請が必要です。

専門業者によると、手続きのステップは「親族の合意→新しい納骨先の確保→墓地管理者・寺への相談→改葬許可申請→閉眼供養→墓石撤去→新納骨先への納骨」と複数あり、数カ月単位の時間がかかることも珍しくありません。

「墓じまい=先祖を粗末にする行為」というイメージを持つ方もいますが、永代供養墓・納骨堂・樹木葬など供養の形を変える選択肢は多くあります。供養をやめるのではなく、方法を変えるというイメージで捉えると、家族間の話し合いも進めやすくなります。

まとめ:実家売却と墓じまい、費用を無駄にしない順番の考え方

実家の売却と墓じまい、どちらを先にするかに万能な正解はありません。

ただし、相続登記だけは義務化されているため、最優先で対応が必要です。

その後の順番は、実家と墓の距離・家族の状況・個人墓地かどうかで変わります。実家を売却した後では墓じまいの段取りが煩雑になりやすいため、売却準備と並行して「墓じまいをどうするか」を家族で話し合っておくことが、結果的に費用と手間を抑えることにつながります。

実家売却時の税金(譲渡所得税の特例など)は適用条件が細かく、個別の状況によって扱いが大きく変わります。不動産会社や税理士への早めの相談もあわせて考えてみてください。