お布施の領収書はもらえる?相続税の記録と寺院への頼み方

お布施の領収書を寺院へ頼む方法と、ない場合の記録を示す図

お布施の領収書は、寺院にお願いして構いません。まず「相続の手続きで必要です」と理由を伝え、寺院が用意できる書類の名称や受け取り方を確認しましょう。

領収書がないからといって、すぐに控除できないと決まるわけではありません。寺院名・所在地、支払日、金額、目的、負担した人をすぐ記録し、出金記録や葬儀資料とまとめます。

相続税で葬式費用として扱えるかは、支払の名称だけでなく、葬式に伴う費用かで確認します。葬儀分と法要分が一括なら分け、迷う場合は税務署または税理士へ確認してください。

お布施の領収書は寺院にお願いしてよい

お布施では、何も言わなくても領収書が渡されるとは限りません。寺院によって、領収書、受領証、寺院所定の証明書など、対応できる書類や手順が異なります。

相続手続きの記録に必要だと伝えます。続けて希望する宛名や受取方法を伝えると、寺院へ確認したい内容が明確になります。

依頼するときに伝える6つの項目

寺院へ連絡する前に、次の内容を一枚のメモへまとめておくと、何を確認したいのかを短く伝えられます。

  • 相続手続きの記録に使うこと
  • 希望する宛名
  • お布施を渡した日
  • 支払った金額
  • 葬儀のお布施など実際の支払内容
  • 郵送・訪問など希望する受取方法

書類を受け取ったら、寺院が通常使用する名称、日付、金額、支払内容、宛名に誤りがないか確認します。希望どおりの書式を求めるのではなく、寺院所定の形式で対応できるかを尋ねる姿勢が大切です。

葬儀後に頼むときの例文

葬儀前に確認できると円滑ですが、葬儀後に必要だと分かることもあります。気づいた時点で電話を入れ、寺院の都合に合わせて受け取り方を相談しましょう。

「先日は葬儀でお世話になり、ありがとうございました。相続の手続き上、後日領収書(または受領証)を頂けますか。必要な宛名や受け取り方を確認させてください」

  1. お布施を渡した寺院へ早めに連絡する
  2. 必要事項と対応できる書類形式を確認する
  3. 受取方法を相談し、手元の支払記録も保管する
お布施の領収書を寺院へ依頼するときの確認フロー
寺院へ連絡し、書類形式と受取方法を相談して記録も保管します。

寺院から発行が難しいと案内された場合は、何度も依頼を重ねるより、手元で支払いの記録を作ります。そのうえで、税務上どのように説明するかを税務署または税理士へ確認します。

領収書がない場合は支払い記録をすぐ残す

領収書がない場合は、記憶が薄れる前に支払内容を記録します。これは領収書を自作するという意味ではなく、申告内容を説明するための情報を整理する作業です。

メモに残す6項目

国税庁の相続税申告書第13表では、葬式費用の明細に加え、負担した人の氏名と金額を整理します。手元のメモにも、次の6項目をそろえてください。

  • 寺院名
  • 寺院の所在地
  • 支払日
  • 支払金額
  • 支払目的
  • 実際に負担した人

「葬儀のお布施」「法要のお布施」のように、目的は後から区別できる具体的な言葉で残します。お車代など別の名目で渡した金額があれば、まとめずに分けて記録します。

出金記録と葬儀資料を一緒に保管する

現金を引き出した通帳の記録、葬儀の日程表、寺院との連絡メモなどがあれば、領収書や支払いメモと同じファイルにまとめます。支払日や目的を後から確認しやすくするためです。

  • 葬儀分と法要分をまとめたままにせず、支払目的ごとに分ける
  • 支払いメモだけで税務上の扱いが決まると考えず、個別事情を確認する

一つのお布施に葬儀分と法要分が含まれる、費用を複数人で負担した、支払日や金額が曖昧といった場合は、資料をそろえて国税庁の相談窓口や税理士に確認すると判断しやすくなります。

相続税で葬式費用に含まれるお布施を分ける

国税庁は、葬式に当たり寺院へ読経料などのお礼をした費用を、通常の葬式費用の例に挙げています。一方、初七日などの法事、墓石・墓地、香典返しの費用は葬式費用に含まれません。

支払の種類相続税上の整理
葬式に当たり寺院へ支払った読経料などのお礼対象になり得る
初七日など法事の費用葬式費用に含まれない
墓石・墓地の購入や借用葬式費用に含まれない
香典返し葬式費用に含まれない

葬儀分と法要分は分けて記録します。一括して渡したお布施は、それぞれの支払目的を整理し、税務上の扱いを個別に確認してください。

葬儀のお布施と法要のお布施を分けて記録する判断図
葬儀分と法要分を分け、個別事情は税務署または税理士へ確認します。

実際の扱いは、支払目的や負担した人などの個別事情によって確認が必要です。迷う場合は、支払日・金額・目的・負担者のメモと関連資料をそろえ、税務署または税理士へ相談してください。

所得税の寄附金控除とは別に考える

相続税の葬式費用と、所得税の寄附金控除は別の制度です。一般のお布施という名称だけで、所得税の寄附金控除の対象になるわけではありません。

国税庁の案内では、寺への寄附が寄附金控除の対象になるのは、寄附先や指定など一定の条件を満たす場合です。相続税の葬式費用控除とは仕組みが異なるため、混同しないよう注意してください。

お布施の領収書は早めに頼み、記録も残す

手元に領収書がなければ、まず寺院へ早めに連絡し、相続手続きで必要だと伝えます。領収書や受領証など、対応できる形式も確認しましょう。

発行の有無にかかわらず、寺院名・所在地、支払日、金額、目的、負担した人の6項目を記録します。葬儀分と法要分を分け、出金記録や葬儀資料も一緒に保管してください。

税務上の扱いに迷うときは、支払内容と手元の資料をそろえて税務署または税理士へ確認します。寺院へのお願いと税務確認を分けて進めることが、落ち着いて記録を整える近道です。